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どんな設備を購入する際でも、費用を度外視してよいのなら
多機能で使い勝手の良いものを導入し、運用開始後にあの機能が欲しかった、何でこの機能が入っていないんだ、と言うことがないようにしますよね。
しかし、費用を度外視して良い、と言う前提が付くことはほぼなく、費用対効果 が 業務システム を選定する上で重要なポイントのひとつとなります。
この記事では 業務システム における 費用対効果 の考え方とその概算を求める方法を解説します。
1. 費用対効果 とは
費用対効果 とは、「投資費用に対してどれくらいの効果があるか」を表す指標です。
一般的には、 費用対効果 が高いほど収益性が高く、有利な投資だと言えます。
個人の行動に関しては、このような指標をもとに投資や消費の判断をすることはそれほど多くありませんが、ビジネス上の決定においてはその妥当性を判断する上で重要な役割を果たします。
そのため、導入する 業務システム を比較検討する場合や、導入後の効果を検証する場合に使用されることが少なくありません。
2. 業務システム の 費用対効果 はどう計算すればよい?
上述のような言葉としての意味を知らないという方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、その計算を実際の業務に当てはめて行うとなると、どのようにやったらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
周囲の誰もが
「今のままでは駄目」
「なんとなくこれ、不便」
「もうちょっと便利なのに変えたい」
というのは分かっていても、予算確保や選定した製品の上申のためにそれを定量化、数値化することが難しいと感じていらっしゃるようです。
業務システム 導入の目的が売上げアップや収益性の改善ではなくコスト削減の場合、課題が解消された場合に削減される金額や投資対効果を明確に説明することが難しい傾向にあります。
たしかに 業務システム を導入したことで1日の売上げが10,000円増えた、ということであれば数値化するのは簡単です。
しかし、 業務システム を導入したことで業務が効率化した、というのをどのように評価し、数値化したら良いのでしょうか。

3. 業務システム の導入における 費用対効果 算出の2つのポイント
前述したように、 業務システム の導入において、費用対効果 の算出は避けては通れないステップとなります。
そこで、予算や上申の対象となる、経営者の目線を意識した 費用対効果 算出のポイントを2点ご紹介します。
業務効率化 による 人件費の削減 を明確にする
まず、1つ目のポイントとして、業務が効率化されることによる 人件費の削減 効果を算出しましょう。
5~7年の中長期的な期間での算出効果を算出しましょう。
以下計算のイメージを紹介します。
業務システムの導入検討をしている業務ごとに、現状発生している作業時間と掛かっている金額を年額で算出します。
たとえば従業員100人の会社で毎月末に30分(=0.5時間)かけて勤怠を手入力しているとします。
これを自動化することによる削減時間を見てみましょう。
100人 x 0.5時間 = 50時間
となり、全社で勤怠の記入に1か月に50時間ほど使っていることが分かります。
勤怠管理用の業務システムを導入し、それを5年間(60か月)使用すると
50時間 x 60か月 = 3,000時間
となります。
仮に賃率が2,000円だとすると
3,000時間 x 2,000円/時間 = 6,000,000円
となり、 業務システム 導入による 人件費の削減 の期待値は、600万円であることが分かります。
この会社では勤怠管理用の 業務システム を導入することで、出退社記録や勤務時間計算が 自動化 され、従業員が毎月報告することが不要となれば、そのシステムに関連する費用が600万円以下であれば導入のコスト効果があると言えます。
非常に単純化して説明しましたが、考え方としては上の説明のようになります。
ただし、600万円と言うのは導入費用だけではありません。
保守費用も考慮に入れなければなりません。
そこで月に5万円の保守費用がかかるとします。
そうすると5年間=60ヶ月で
50,000円x 60ヶ月 = 3,000,000円
で、5年間の保守費用は300万円となります。
初期費用に300万円、保守費用に月額5万円で60ヶ月経過した時点で投資額と削減額が一致することとなります。
これらの計算はエクセルで簡単に作れますので、自社の業務に合わせて作成してみましょう。
しかし、算出できるのはあくまで概算ですので、細かな部分の正確さより、およその額を把握することを意識すると良いです。
このような整理を行うことで、 業務効率化 という定性的な言葉を、実際に改善が見込まれる業務ごとの具体的な金額に落とし込むことが可能になります。
概算であってもあるのとないのでは大違いです。
上の例では5年間使用する前提で削減費用を策算出しましたが、このように中長期的な視点、たとえば5年とか7年のスパンでの費用削減効果を計算しましょう。
5年~7年程度経過するとシステムが老朽化し、新たなシステムに更新が検討され始めますので、それくらいの期間で計算することに妥当性があります。
業務システム のような大規模なシステム投資では、どうしても初期費用が膨らみ、投資金額が大きいという印象を持たれてしまう傾向にあります。
しかしながら、中長期的な視点を取り入れることで、システムのライフサイクルで発生する費用の対比が可能となるため、その 費用削減効果を明確に説明できるようになります。
決裁者によっては、導入時の費用を抑えることに注力してしまうことがあります。
そうなると最低限の機能に留まってしまい、本当に必要としていた機能や仕組みを導入できなかったという事態にもなりかねません。
計算をする際には、中長期的視点で 費用対効果 を算出しましょう。
バージョンアップや保守の費用は、実績を加味して数値を盛り込みます。
このような整理をすることで、最初の数年は初期費用によってマイナスとなりますが、数年後にはプラスに転じていくということが説明できるようになります。
ガバナンス強化・ リスク低減効果 を明確にする
ここまでは 業務システム の 費用対効果 の考え方について説明してきました。
一方で、費用だけで割り切れないものも存在します。
たとえば顧客満足度、従業員満足度、パートナー企業からの信頼性などがそれにあたります。
一方で、働き方改革、業務効率化を推進することは世の中の趨勢であるということを踏まえると、業務システム の導入のように、これらに関連した施策を他社より率先して採り入れることは、顧客満足度、従業員満足度、パートナー企業からの信頼性のような数値化できないものを向上させることにつながります。
時代遅れの会社、取り残された会社と思われないためにも金額的に損か得かだけでなない視点を持ちつつ、業務システムの導入を進めることも重要です。
たとえば時間外勤務の多い会社は就職、転職市場で不人気となり、人材の確保が難しくなります。
担当者による書き換えが自由に行えるシステムを使い続けるのではなく、改ざんができないシステムで経営層が時間外勤務の多い職場が見たい時に見ることができたり、管理職が各メンバーの時間外勤務を日々、モニターしておくことで、必要な是正を行えます。
この例では時間外勤務について説明しましたが、経営のガバナンスが働いていることを会社の内外に示すことも重要です。
費用対効果 を意識しつつ、ガバナンス強化の面からも考慮して 業務システム の導入を検討しましょう。
また、中長期的な費用が計算できたらその数値に対して、例えば手作業による入力ミスや申告漏れの発生など、投資をしなかった場合に発生しうるリスクを洗い出しましょう。
リスクと影響の整理をした上で、過去に発生した申告漏れなどのトラブル対応に掛かった人手や時間からおよその費用を計算し、中長期コストの年額に加算しましょう。
このような整理をすることで、 業務システム への投資により得られるリスク低減効果も費用対効果に盛り込めるようになります。
4.まとめ
この記事では 業務システム における 費用対効果 とその考え方のポイントについて解説しました。
業務システム 導入に向けた上申の際には、数値化が必要で中長期的期間で算出することで重要であることを説明しました。
実際の 業務システム 導入検討の段階には是非、この記事を参考にしてください。
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